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言葉から、言葉まで。

海子の詩を六編翻訳してみた

この文章は、筆者による海子(ピンイン:hǎi zǐ)の詩の拙訳のまとめたものです。telegra.ph にて訂正や更新が見られますので、よろしければ是非。




海に向かう、暖春に花笑み

『面朝大海,春暖花开』(miàn cháo dà hǎi,chūn nuǎn huā kāi)


明日から 幸せな人になる

馬に餌を与え 薪を割り 世界を周遊しよう

明日から 穀物と野菜を気にかけよう

僕は家屋がいる 海に向かって 暖春に花笑み


明日から 家族一人一人に手紙を出す

僕の幸せを語ってあげよう

あの幸福の稲妻から教えてもらったのを

みんな一人一人に語ってあげよう


一つ一つの川と山に暖かい名前を付けよう

見知らぬ人よ 僕は君のためにも祈る

輝かしい未来があるように

両思いができるように

浮世で幸せであるように

そして僕は 海に向かって、暖春に花笑みを願う





アジアの銅

『亚洲铜』(yà zhōu tóng)


アジアの銅、アジアの銅

祖父がここで死んだ、父親がここで死んだ、僕もここで死ぬだろう

君は人を埋葬する唯一の場所


アジアの銅、アジアの銅

疑わしい、飛行好きのは鳥、全てを覆うのは海水

なのに君の主は草、自分の細い腰に住み、野花の掌と秘密を守りきる


アジアの銅、アジアの銅

見えるのかい?あの二つの白い鳩、あれは屈原(くつげん)が砂浜に残された白い靴

僕たち——僕たちは川と一緒に、それを履こう


アジアの銅、アジアの銅

鼓を打ってから、僕たちは暗闇の中で踊る心臓は「月」と呼ぶ

この月は主に君で構成される




女の子

『女孩子』(nǚ hái zi)


彼女は歩いてきた

途切れ途切れに歩いてきた

清潔な足跡が

さわやかな露に満ちている


彼女はほんの少し憂鬱で

泥と草で作り上げた家屋に目をやり

父親に目をやる

彼女は両手で黒い髪を掻き分けて

一つの野桜が黙々を斜めに挿していた

もう一つは誰に送ったのを

誰にも訊ねることは無かった


春は風

秋が月

僕が気付いた時

彼女はもう別の場所に行った

あそこには雨上がりの垣根は青い

渓みたいだ




四姉妹

『四姐妹』(sì jiě mèi)


荒涼な丘に四姉妹が立っていた

あらゆる風が彼女たちに向いて吹く

あらゆる日々が彼女たちのために割れる


宙に浮く一本の麦

僕の頭の上に持ち上げられる

僕はこの荒れ果てた丘で

僕の空っぽな部屋を偲ぶ 埃だらけ


僕の愛してたこの間抜けな四姉妹よ

輝かしい四姉妹

夜に僕は書物と神州を枕として

青い彼方の四姉妹のことを思う

僕の書いた四編の詩のように

僕が愛してたこの間抜けな四姉妹よ

道連れになっていた僕の美しい四姉妹は

運命の女神より一人余っていた

美しい青白い乳牛を走らせ 月の形をしていた峰に向かう


二月になる、君は何処から来たのかい

空に鳴り響く春の雷、君は何処から来たのかい

見知らぬ人と一緒に来ない

荷馬車と一緒に来ない

鳥の群と一緒に来ない


四姉妹はこの一本の

宙に浮く一本の麦を抱いている

昨日の大雪と、今日の雨水を

明日の穀物と灰燼も抱く

これは絶望の麦

四姉妹に伝えてくれ:これは絶望の麦

いつまでもそうだ

風の後は風

空の上は空

道の先は道しか居ないのだ


珍貴な世間に生きる

『活在珍贵的人间』(huó zài zhēn guì de rén jiān)


この珍貴な世間に生きる

太陽は強烈

水波は温柔

層々の白い雲に覆われ

僕は

草を踏み

自分が綺麗な黒土の塊だと気がした


この珍貴な世間に生きる

土が跳ね上がて

顔に叩く

この珍貴な世間に生きる

人間は植物のように幸せであり

愛情は雨水のように幸せである




祖国(または『夢を馬として』)

『祖国(或以梦为马)』(zǔ guó(huò yǐ mèng wéi mǎ))


僕は遠方の忠実な息子と

物質の短い間の恋人になる

夢を馬とする全ての詩人のように

僕は烈士と道化者と同じ道を通さざるを得ない


万人は火を消そうとし 僕は一人で此の火を高く持ち上げた

大たる此の火 神聖な祖国で其の花が乱れ散る

夢を馬とする全ての詩人のように

僕は此の火で一生の茫々たる暗夜を過ごしていた


大たる此の火 祖国の言葉と乱石(らんせき)で投げ積もられる梁山(りょうざん)の城

夢を上とした敦煌(とんこう)——彼(あ)の七月にも寒がる骨骼

白雪のような柴と堅固な白雪の枝は 神々の山を横切っていた

夢を馬とする全ての詩人のように

僕は此の火に飛び込む この三者は僕を閉じ込める灯火(ともしび)であり 光を吐き出していた


万人は僕の刃を歩き 祖国の言葉を構築しようとする

僕はむしろ全てが一から始まると願う

夢を馬とする全ての詩人のように

僕も永遠に閉じ込められても良い


神々の造物の中一番朽ち易いの僕 不可抗の死の速度で

穀物だけが僕の虎の子 僕は彼女を強く抱きしめ 抱きしめて故郷で子供を育つ

夢を馬とする全ての詩人のように

僕も周りの高い山に埋められたい この平和な家を見守る


大河に向かって僕はいつ果てるともなく慚愧である

僕は徒に年月を送り 疲労しか身に付いていない

夢を馬とする全ての詩人のように

歳月流るる如し 一滴も残らず 雫の中の一匹の馬も彼の世に行って了う


千年も先 若し僕が祖国の河岸に生まれ変わったら

千年の先 僕がもう一度中国の稲田と 周天子の雪山を擁すれば 天馬と巡り会えれば

夢を馬とする全ての詩人のように

僕は永遠の事業を選ぶ


僕の事業は 太陽の一生になる

古今——「日」——彼は比類無く耀かしい

夢を馬とする全ての詩人のように

最後は僕が黄昏(たそがれ)の神々に朽ちない太陽に担がされる


太陽は僕の名前

太陽が僕の一生

太陽の山頂に埋められるのは 詩歌の死体——千年の王国と僕

五千年の鳳凰と「馬」で呼ばれる竜に乗る——僕は必ず失敗する

だが詩歌自身は太陽の名で必ず勝利を

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